雇い止めとは?読み方・意味・契約満了との違いをわかりやすく解説【2026年最新】

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雇い止めとは、有期労働契約の期間満了時に会社側が契約を更新しないことを指します。

パートやアルバイト、契約社員として働く方にとって、雇い止めは突然の収入喪失を意味する深刻な問題です。

しかし、すべての雇い止めが認められるわけではありません。

労働契約法19条では「雇い止め法理」が定められており、一定の条件を満たせば雇い止めを無効にできる可能性があります。

この記事では、雇い止めの意味から対処法、相談先まで、初心者の方にもわかりやすく徹底解説します。

この記事でわかること

  • 雇い止めの正確な意味と解雇・契約満了との違い
  • 雇い止めが無効になる条件と法的根拠
  • 雇い止めにあった場合の具体的な対処法
  • 失業保険の受給に関する注意点

雇い止めトラブルの相談におすすめのサービス

サービス名 特徴 費用
労働基準監督署 国の機関で無料相談可能、法令違反の是正指導ができる 無料
都道府県労働局 あっせん制度を利用した紛争解決が可能 無料
総合労働相談コーナー 専門相談員による助言・指導が受けられる 無料
ユニオン(合同労組) 一人でも加入でき、会社との団体交渉が可能 組合費が必要
弁護士 労働審判や訴訟など法的手続きの代理が可能 相談料・着手金等

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雇い止めとは?基本的な意味と読み方を解説

このセクションの内容

雇い止めは「やといどめ」と読み、有期労働契約で働く方にとって避けては通れない重要なテーマです。

パートやアルバイト、契約社員といった雇用形態で働いている方は、契約期間が定められているため、いつ契約が終了するかわからない不安を抱えています。

雇い止めの正しい意味を理解することは、自分の権利を守るための第一歩となります。

ここでは、雇い止めの定義から解雇や契約満了との違いまで、基本的な知識を整理していきましょう。

雇い止めの定義

雇い止めとは、有期労働契約の契約期間が満了したときに、使用者(会社側)が契約を更新せずに終了させることを指します。

たとえば、1年契約で働いている契約社員が、契約期間の終わりに「次の更新はありません」と告げられるケースが典型的な雇い止めです。

雇い止めの基本的な特徴

  • 有期労働契約(期間の定めのある契約)が前提となる
  • 契約期間の満了時に行われる
  • 会社側の意思で契約を終了させる
  • 法律上は「解雇」とは別の概念として扱われる

雇い止めは法律用語としても使われており、労働契約法19条で「雇い止め法理」として明文化されています。

有期労働契約は、本来であれば契約期間が終われば当然に終了するものです。

しかし、何度も契約が更新されてきた場合や、更新されると期待する合理的な理由がある場合には、会社が自由に契約を終了させることはできません。

この点が雇い止めを理解するうえで最も重要なポイントとなります。

雇い止めと解雇(クビ)の違い

雇い止めと解雇は混同されやすいですが、法律上はまったく異なる概念です。

両者の違いを正しく理解することで、自分がどのような状況に置かれているのか判断できるようになります。

項目 雇い止め 解雇(クビ)
対象となる契約 有期労働契約 有期・無期を問わない
タイミング 契約期間の満了時 契約期間の途中
法的根拠 労働契約法19条 労働契約法16条、労働基準法20条
必要な手続き 30日前の予告(一定の場合) 30日前の予告または解雇予告手当
制限の厳しさ 状況により異なる 非常に厳格

解雇は、契約期間の途中で会社が一方的に労働契約を終了させる行為です。

日本では解雇権濫用法理により、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められます。

一方、雇い止めは契約期間の満了時に行われるため、形式的には「契約が終わった」という形をとります。

しかし、長期間にわたって契約が更新されてきた場合などは、解雇に近い制限が課されることがあります。

労働者側の対抗手段も異なります。

解雇の場合は「解雇無効」を主張して地位確認を求めますが、雇い止めの場合は「雇い止め法理」に基づいて契約の継続を求めることになります。

雇い止めと契約満了の違い

「雇い止め」と「契約満了」は似ているようで、実は意味合いが異なります。

この違いを理解しておくことは、退職後の手続きや失業保険の受給にも影響するため重要です。

雇い止めと契約満了の違い

  • 契約満了は、あらかじめ決められた期間が終わり、双方が合意のうえで契約を終了すること
  • 雇い止めは、労働者が更新を希望しているにもかかわらず、会社側が一方的に更新を拒否すること
  • 契約満了は労働者・会社双方の意思が一致しているが、雇い止めは意思が一致していない

たとえば、契約期間が1年の契約社員が、自分から「更新しなくていいです」と申し出て契約が終了した場合は契約満了です。

一方、同じ契約社員が更新を希望したのに会社から「更新しません」と告げられた場合は雇い止めとなります。

退職届の有無も重要なポイントです。

契約満了の場合は労働者側から退職届を提出することが多いですが、雇い止めの場合は会社から通知書が交付されるのが一般的です。

失業保険(雇用保険の基本手当)の受給においても、この区別は大きな影響を与えます。

雇い止めの場合は会社都合退職として扱われ、給付制限なしで失業保険を受け取れる可能性が高くなります。

厚生労働省による雇い止めの公式見解

雇い止めに関しては、厚生労働省が公式な基準やガイドラインを公表しています。

使用者も労働者も、これらの公式見解を理解しておくことが重要です。

厚生労働省は「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)を定めています。

使用者は、有期労働契約(中略)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の三十日前までに、その予告をしなければならない。

出典:厚生労働省「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」

この告示では、雇い止めの予告義務や理由の明示義務など、使用者が守るべきルールが具体的に示されています。

厚労省告示の主なポイント

項目 内容
雇い止め予告 30日前までに予告が必要(一定の場合)
理由の明示 労働者から請求があれば書面で理由を明示
契約期間の配慮 できる限り長い契約期間を設定する努力義務
更新回数 5回〜23回更新されていた
更新手続き 形式的で形骸化していた
雇い止め理由 会社の業績悪化による人員整理

最高裁は、以下のように判示しました。

  • 契約が長期間反復更新され、実質的に期間の定めのない契約と異ならない状態になっていた
  • このような場合、雇い止めには解雇に関する法理を類推適用すべき
  • 解雇権濫用法理に照らし、雇い止めは無効

この判決の意義は、有期契約であっても実態に応じて労働者を保護するという考え方を示した点にあります。

形式的には有期契約であっても、実質的に無期契約と変わらない状態であれば、会社は自由に契約を終了させることができないということです。

この判例法理は、後に労働契約法19条1号として明文化されました。

日立メディコ事件(最判昭和61年12月4日)

日立メディコ事件は、「更新期待型」の雇い止め法理を確立した重要な判例です。

東芝柳町工場事件とは異なり、更新回数が少なくても保護される場合があることを示しました。

事案の概要

項目 内容
当事者 日立メディコの工場で働く臨時員
契約形態 2ヶ月の有期労働契約
更新回数 5回更新(約20ヶ月勤務)
雇い止め理由 業務上の都合による人員整理

最高裁は、以下のように判示しました。

  • 雇用関係はある程度の継続が期待されていた
  • しかし、臨時員の地位は正社員と異なり、雇用調整の際にはまず臨時員の雇い止めを行うことも許容される
  • 本件では、雇い止めが権利濫用とは認められない

この判決は、更新への合理的期待がある場合でも保護されることを認めつつ、保護の程度は正社員の解雇よりも緩やかになりうることを示しました。

更新期待型の保護は、実質無期型よりも相対的に弱いものとなります。

しかし、会社が全く自由に雇い止めできるわけではなく、一定の制限が課されることに変わりはありません。

この判例法理は、労働契約法19条2号として明文化されています。

近年の重要判例

労働契約法の施行後も、雇い止めに関する重要な判例が積み重ねられています。

特に、無期転換ルールとの関係や、コロナ禍での雇い止めについては新たな判例が形成されつつあります。

近年の注目すべき判例

判例 ポイント
福原学園事件(最判平成28年12月1日) 大学の非常勤講師の雇い止めについて、更新への合理的期待を認定
博報堂事件(東京高判令和元年11月28日) 5年直前での雇い止めについて、無期転換ルール回避目的を認定
コロナ関連雇い止め訴訟 業績悪化を理由とする雇い止めの正当性が争われている

無期転換ルールとの関係では、5年直前での雇い止めが問題となるケースが増えています。

裁判所は、無期転換ルールを回避する意図で行われた雇い止めについて、厳しい判断を示す傾向にあります。

コロナ禍では、業績悪化を理由とする雇い止めが多発しました。

これらの雇い止めについては、人員削減の必要性や解雇回避努力の有無が重要な判断要素となります。

判例は常に更新されていますので、自分のケースに近い判例があるかどうかは、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。


雇い止めにあった場合の対処法

このセクションの内容

実際に雇い止めを告げられた場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

パニックになる必要はありません。

冷静に状況を把握し、適切な手順で対応することが大切です。

ここでは、雇い止めにあった場合の具体的な対処法を、段階を追って解説します。

まず確認すべきこと

雇い止めを告げられたら、まず以下の情報を整理・確認しましょう。

これらは、後の交渉や法的手続きにおいて重要な判断材料となります。

確認すべき書類・情報

確認項目 確認内容
雇用契約書・労働条件通知書 契約期間、更新の有無、更新基準の記載
更新回数・勤続年数 いつから働いているか、何回更新されたか
更新時のやり取り 会社からどのような説明を受けたか
雇い止めの通知書 いつ、どのような理由で通知されたか
同僚の状況 他の有期契約労働者はどうなっているか

特に重要なのは、契約更新時にどのような説明を受けていたかという点です。

「長く働いてほしい」「業績が良ければ更新する」といった発言があった場合、更新への合理的期待が認められる可能性が高まります。

書類は必ずコピーを取り、やり取りはメモに残しておきましょう。

口頭でのやり取りも、日時と内容を記録しておくことが大切です。

これらの記録は、後で「言った・言わない」の争いになった際に、重要な証拠となります。

LINEやメールでのやり取りがあれば、スクリーンショットを保存しておくことをおすすめします。

会社との交渉

状況を把握したら、まずは会社との交渉を試みましょう。

いきなり法的手続きに進むよりも、話し合いで解決できればそれに越したことはありません。

会社との交渉で押さえるべきポイント

  • 雇い止めの理由を書面で請求する
  • 感情的にならず、冷静に対応する
  • 交渉内容は必ず記録に残す
  • 無理に合意しない、署名・押印は慎重に

まず、雇い止めの理由を書面で明示するよう請求しましょう。

会社には、労働者から請求があった場合に理由を書面で明示する義務があります。

口頭で説明を受けるだけでなく、必ず書面で受け取ることが重要です。

交渉の際は、感情的にならないよう注意してください。

怒りや悲しみは当然の感情ですが、冷静に事実を確認し、自分の希望を明確に伝えることが大切です。

退職届への署名を求められても、納得できない場合は応じる必要はありません。

「検討させてください」と伝え、専門家に相談する時間を確保しましょう。

一度署名・押印してしまうと、後から覆すことが難しくなります。

外部機関への相談

会社との交渉がうまくいかない場合や、自分だけで対応するのが不安な場合は、外部機関に相談しましょう。

無料で利用できる公的機関もあります。

相談先の選択肢

相談先 特徴 費用
総合労働相談コーナー 都道府県労働局に設置、情報提供・助言 無料
労働基準監督署 法令違反がある場合に指導・是正勧告 無料
都道府県労働局のあっせん 第三者が間に入って紛争解決を支援 無料
ユニオン(合同労組) 団体交渉により会社と交渉 組合費が必要
弁護士 法的手続きの代理、交渉の代行 相談料・着手金等

総合労働相談コーナーは、全国の労働局や労働基準監督署に設置されています。

まずはここで相談し、自分の状況に適した対応方法を教えてもらうとよいでしょう。

ユニオン(合同労組)は、一人でも加入できる労働組合です。

組合に加入すれば、会社との団体交渉を行うことができます。

個人で交渉するよりも、組合を通じて交渉する方が効果的な場合が多いです。

どの機関に相談するかは、自分の希望(復職したいのか、金銭解決でよいのか等)や、雇い止めの悪質性によって判断しましょう。

法的手段の検討

交渉やあっせんで解決しない場合は、法的手段を検討することになります。

主な法的手段として、労働審判と訴訟があります。

法的手段の比較

手続き 特徴 期間 費用
労働審判 迅速・柔軟な解決、3回以内の期日 約2〜3ヶ月 訴訟より安価
訴訟 本格的な審理、判決による解決 半年〜数年 高額になりやすい

労働審判は、労働問題を迅速に解決するための手続きです。

原則として3回以内の期日で結論が出るため、訴訟よりも早く解決できます。

審判に不服がある場合は、訴訟に移行することも可能です。

訴訟は、裁判所に正式に訴えを提起する手続きです。

時間と費用がかかりますが、判決によって権利を確定させることができます。

弁護士への相談は早めに行うことをおすすめします。

多くの弁護士が初回相談無料のサービスを提供しています。

法テラス(日本司法支援センター)では、収入が一定以下の方に対して無料法律相談や弁護士費用の立替えを行っています。


企業側が雇い止めで注意すべきポイント

このセクションの内容

雇い止めをめぐるトラブルは、企業にとっても大きなリスクとなります。

雇い止めが無効と判断されれば、未払賃金の支払いや損害賠償を求められる可能性があります。

また、企業イメージの低下にもつながりかねません。

ここでは、企業側の視点から、雇い止めで注意すべきポイントを解説します。

雇い止めリスクを軽減する契約管理

雇い止めトラブルを予防するためには、日頃からの契約管理が重要です。

適切な契約書の整備と、更新時の丁寧な対応が求められます。

契約管理のポイント

項目 具体的な対応
契約書の整備 更新の有無、更新基準を明確に記載
更新上限の設定 更新回数や通算期間の上限を設ける場合は明示
更新時の面談 契約更新の都度、面談を実施し説明
記録の保管 面談内容や交付書類を記録・保管

契約書には、更新の有無と更新の判断基準を明確に記載しましょう。

「更新する場合がある」という曖昧な記載ではなく、具体的な基準を示すことが重要です。

更新回数や通算期間に上限を設ける場合は、契約締結時から明示しておく必要があります。

後から上限を設けて雇い止めを行うと、トラブルになる可能性が高くなります。

契約更新時には形式的な手続きで済ませず、必ず面談を実施して労働条件を確認しましょう。

更新への過度な期待を持たせる発言は避け、契約の性質について丁寧に説明することが大切です。

無期転換権への対応

無期転換ルール(5年ルール)への対応は、企業の人事戦略において重要な課題となっています。

5年直前での雇い止めは違法と判断されるリスクが高いため、計画的な対応が必要です。

無期転換権への対応方針

  • 5年を超えて雇用継続する場合は無期転換を前提とする
  • 無期転換後の労働条件(職務、賃金等)を事前に設計
  • 正社員登用制度との整合性を検討
  • 5年直前での雇い止めは避ける

無期転換権が発生した労働者から申込みがあった場合、企業はこれを拒否することができません。

したがって、長期間雇用する予定の有期契約労働者については、無期転換を前提とした人事制度を設計する必要があります。

無期転換後の労働条件は、従前の有期契約と同一でなくても構いません。

ただし、就業規則等で無期転換後の労働条件を明確に定めておくことが望ましいです。

5年直前での雇い止めは、無期転換ルールを回避する意図があると判断される可能性が高く、訴訟リスクが高まります。

このような雇い止めは避け、適切な人事管理を行うことが企業にとってもメリットとなります。

トラブル防止のための実務対応

雇い止めを行う場合には、適切な手続きを踏むことがトラブル防止につながります。

法令上の義務を遵守するとともに、労働者への配慮を忘れないようにしましょう。

雇い止め実施時のチェックリスト

チェック項目 確認内容
予告義務 30日前までに予告したか
理由の明示 労働者から請求があれば書面で理由を明示したか
理由の正当性 客観的に合理的な理由があるか
手続きの相当性 社会通念上相当な手続きを踏んでいるか
記録の保管 予告の日時、理由の明示、面談内容等を記録したか

雇い止め予告は、該当する場合には必ず30日前までに行いましょう。

予告書は書面で交付し、交付日と内容を記録しておくことが重要です。

理由の明示を求められた場合は、速やかに書面で回答しましょう。

「契約期間満了のため」だけでは不十分であり、具体的な理由を記載する必要があります。

紛争が発生した場合の初期対応も重要です。

労働者から異議申立てがあった場合は、感情的に対応せず、事実関係を整理して冷静に対応しましょう。

早期に弁護士に相談し、適切な対応方針を決定することをおすすめします。


雇い止めに関する利用者の声

このセクションの内容

雇い止めを経験した方々の声を紹介します。

様々なケースがあることを知ることで、自分の状況を客観的に捉える参考になるでしょう。

Aさん(30代女性・契約社員)

5年近く働いていた会社から突然、「次の更新はない」と言われました。最初は何もできないと思っていましたが、労働局に相談したところ、あっせん制度を紹介されました。結果的に、会社と話し合いの場を持つことができ、解決金を受け取ることで合意できました。一人で悩まず、相談することの大切さを実感しました。

Bさん(40代男性・パート)

10年以上同じ職場でパートとして働いていました。契約更新は毎年形式的に行われるだけで、まさか雇い止めされるとは思っていませんでした。ユニオンに加入して団体交渉を行った結果、雇い止めは撤回され、無期契約に転換することができました。

Cさん(50代女性・派遣社員)

派遣先での仕事が終了するタイミングで、派遣元からも契約を更新しないと言われました。失業保険の手続きで、会社都合扱いになるかどうか不安でしたが、ハローワークで相談したところ「特定理由離職者」に該当し、給付制限なしで受給できました。離職理由の区分は必ず確認すべきです。

Dさん(60代男性・嘱託社員)

定年後、嘱託社員として再雇用されていましたが、64歳で雇い止めを告げられました。高年齢者雇用安定法では65歳までの雇用確保が義務付けられていることを知り、会社に説明を求めました。結果的に、65歳まで雇用が継続されることになりました。法律を知っていることの重要性を痛感しました。


雇い止めに関するよくある疑問と回答

このセクションの内容

雇い止めについては、多くの方が疑問を抱えています。

ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。

自分の状況に近い質問があれば、参考にしてください。

Q. 雇い止めとクビ(解雇)は何が違うのですか?

雇い止めと解雇(クビ)は、法律上まったく異なる概念です。

解雇は、契約期間の途中で会社が一方的に労働契約を終了させる行為です。

無期契約でも有期契約でも、契約期間中に行われれば解雇となります。

一方、雇い止めは、有期労働契約の契約期間が満了したときに、会社が契約を更新しないことを指します。

形式的には「契約が終わった」という形をとりますが、実質的には会社の意思で雇用を終了させる点で解雇に近い性質を持ちます。

両者の主な違い

項目 雇い止め 解雇
タイミング 契約期間の満了時 契約期間中
対象 有期契約労働者 すべての労働者
法的規制 労働契約法19条 労働契約法16条等

実務上の違いとしては、解雇の方が厳格な制限を受けます。

しかし、長期間更新が繰り返されてきた場合など、雇い止め法理の適用がある場合は、雇い止めも解雇に近い制限を受けることになります。

Q. どのような理由であれば雇い止めは正当と認められますか?

雇い止めが正当と認められるためには、客観的に合理的な理由と社会通念上の相当性が必要です。

具体的にどのような理由が認められるかは、個別の事情によって異なります。

正当と認められやすい理由

  • 事業縮小・部門廃止などの経営上の必要性
  • 労働者の勤務成績や勤務態度の著しい不良
  • 業務遂行に必要な能力・資格の欠如
  • 契約締結時から更新しないことが明確だった場合

ただし、これらの理由があれば必ず雇い止めが認められるわけではありません。

会社は、雇い止めを回避するための努力を行い、適切な手続きを踏む必要があります。

たとえば、勤務成績の不良を理由とする場合でも、会社は十分な指導・教育を行い、改善の機会を与えていなければなりません。

雇い止めの正当性は、理由の内容だけでなく、手続きの相当性も含めて総合的に判断されます。

Q. 契約満了と雇い止めはどう違うのですか?

契約満了と雇い止めは、いずれも有期労働契約が終了する場面ですが、意味合いが異なります。

契約満了は、あらかじめ決められた契約期間が終わり、労働者と会社の双方が合意のうえで契約を終了することを指します。

労働者自身も契約の終了を望んでいる場合がこれに該当します。

一方、雇い止めは、労働者が契約の更新を希望しているにもかかわらず、会社側が一方的に更新を拒否することを指します。

判断のポイント

項目 契約満了 雇い止め
労働者の意思 終了に同意 更新を希望
会社の意思 終了に同意 更新を拒否
失業保険 自己都合になりうる 会社都合扱いが多い

この違いは、失業保険の受給にも影響します。

雇い止めの場合は会社都合として給付制限なしで受給できる可能性が高いですが、契約満了の場合は自己都合として給付制限がかかる可能性があります。

Q. 雇い止めにはどんなルールがありますか?

雇い止めには、法律や厚生労働省の告示によって様々なルールが定められています。

使用者はこれらのルールを遵守する義務があります。

主なルール一覧

ルール 内容
雇い止め予告 一定の場合、30日前までに予告が必要
理由の明示 労働者から請求があれば書面で理由を明示
雇い止め法理 一定の場合、合理的理由なき雇い止めは無効
更新基準の明示 契約締結時に更新の有無・基準を明示

雇い止め予告は、3回以上更新されている場合や、1年を超えて継続勤務している場合に必要です。

雇い止め法理(労働契約法19条)により、長期間更新が繰り返されてきた場合や更新への合理的期待がある場合は、客観的に合理的な理由なく雇い止めを行うことはできません。

これらのルールを会社が守っていない場合は、労働基準監督署や労働局に相談することを検討してもよいでしょう。

Q. 5年働いたら必ず正社員になれるのですか?

これは誤解されやすいポイントですが、5年働いても自動的に正社員になれるわけではありません。

無期転換ルール(労働契約法18条)により、同一の使用者との有期労働契約が通算5年を超えた場合、労働者は無期契約への転換を申し込む権利を得ます。

この申込みをすれば、会社は承諾したものとみなされ、有期契約から無期契約に転換されます。

注意すべきポイント

  • 「無期契約」と「正社員」は異なる
  • 労働者からの申込みが必要(自動転換ではない)
  • 転換後の労働条件は、別段の定めがなければ従前と同一

無期契約に転換されても、必ずしも正社員と同じ待遇になるわけではありません。

「無期パート」「無期契約社員」といった形態もあり、労働条件は従前の有期契約と同じままという場合も多いです。

ただし、契約期間の定めがなくなるため、雇い止めの不安からは解放されます。

自分に無期転換申込権があるかどうかは、契約書や会社からの通知を確認しましょう。

Q. 派遣社員も雇い止めの対象になりますか?

派遣社員も雇い止めの対象となりえます。

ただし、派遣という働き方の特性上、やや複雑な構造になっています。

派遣社員は、派遣元(派遣会社)と労働契約を結び、派遣先で働きます。

したがって、「雇い止め」が問題となるのは、派遣元との労働契約においてです。

派遣社員の雇い止めの構造

契約関係 終了の形態 雇い止め法理の適用
派遣先との派遣契約 派遣契約の終了 適用なし
派遣元との労働契約 雇い止め 適用あり

派遣先から「契約を更新しない」と言われても、それは派遣契約の終了であり、直接の雇い止めではありません。

派遣元が派遣先との契約終了を理由に労働契約を更新しない場合に、雇い止めの問題が生じます。

派遣元は、派遣先との契約が終了しても、すぐに労働契約を終了させるのではなく、新たな派遣先を探すなどの対応を求められます。

登録型派遣の場合、派遣期間と労働契約期間が一致していることが多く、雇い止め法理の適用が問題となるケースがあります。

Q. 雇い止めされたら失業保険はすぐもらえますか?

雇い止めされた場合、多くのケースで失業保険(雇用保険の基本手当)を給付制限なしで受け取ることができます。

失業保険の給付には、離職理由によって「会社都合」と「自己都合」の区分があります。

離職区分による違い

区分 給付制限 給付日数
会社都合(特定受給資格者) なし 長い(90〜330日)
特定理由離職者 なし 状況による
自己都合 原則2ヶ月 短い(90〜150日)

雇い止めは、労働者が更新を希望したにもかかわらず会社が更新を拒否したケースであり、原則として会社都合として扱われます。

「特定受給資格者」または「特定理由離職者」に該当すれば、7日間の待期期間の後、給付制限なしで失業保険を受け取ることができます。

離職票を受け取ったら、離職理由の記載を必ず確認しましょう。

実態と異なる記載がある場合は、ハローワークで異議を申し立てることができます。

Q. 更新を期待していたのに急に雇い止めされました。泣き寝入りするしかないですか?

泣き寝入りする必要はありません。

雇い止め法理により、一定の条件を満たせば雇い止めを争うことができます。

まず確認すべきこと

  • これまでの更新回数と勤続年数
  • 更新時に会社からどのような説明を受けていたか
  • 他の有期契約労働者の更新状況
  • 雇い止めの理由

労働契約法19条に基づき、以下のいずれかに該当する場合は、合理的な理由のない雇い止めを無効にできる可能性があります。

  • 契約が反復更新され、実質的に無期契約と異ならない状態(1号)
  • 契約更新への合理的期待がある場合(2号)

まずは一人で悩まず、専門家に相談することをおすすめします。

総合労働相談コーナー(無料)、ユニオン、弁護士など、相談できる窓口は複数あります。

相談することで、自分のケースで雇い止めを争える可能性があるのか、どのような手段が適切なのかを知ることができます。


基準の明示契約締結時に更新の有無・判断基準を明示

厚生労働省は、有期契約労働者の雇用安定を図るため、使用者に対してこれらの基準を遵守するよう求めています。

もし会社がこれらの基準を守っていない場合は、労働基準監督署への相談を検討してもよいでしょう。


雇い止めの対象となる労働者と契約形態

このセクションの内容

雇い止めは、有期労働契約で働くすべての方に関係する問題です。

しかし、自分がどのような契約形態で働いているのか、正確に把握していない方も少なくありません。

ここでは、有期労働契約の基本から、近年特に問題となっている無期転換ルール(5年ルール)、そして60歳・65歳での雇い止めについて解説します。

自分の状況に当てはめながら読み進めてください。

有期労働契約とは

有期労働契約とは、契約期間があらかじめ定められている労働契約のことです。

「〇年〇月〇日から〇年〇月〇日まで」というように、契約の終期が決まっているのが特徴です。

有期労働契約で働く主な雇用形態

  • 契約社員(有期雇用社員)
  • パートタイマー
  • アルバイト
  • 嘱託社員
  • 派遣社員(派遣元との契約が有期の場合)
  • 臨時職員

これらの雇用形態で働いている方は、原則として雇い止めの対象となりえます。

有期労働契約の契約期間には上限が設けられています。

原則 例外
3年以内 専門的知識等を有する労働者:5年以内
  満60歳以上の労働者:5年以内
  一定の事業の完了に必要な期間を定める場合:その期間

契約期間が3年(例外的に5年)を超える有期労働契約を締結することは、労働基準法14条により原則として禁止されています。

ただし、契約を更新することは可能なため、実際には何年も同じ職場で有期契約のまま働き続けるケースが多く見られます。

このように長期間更新が繰り返される場合、雇い止めが制限される可能性が高まります。

無期転換ルールと5年ルールの関係

2013年4月に施行された改正労働契約法により、「無期転換ルール」が導入されました。

これは「5年ルール」とも呼ばれ、有期契約労働者の雇用安定を図るための重要な制度です。

無期転換ルールの概要は労働契約法18条に定められています。

同一の使用者との間で締結された二以上の有期労働契約(中略)の契約期間を通算した期間(中略)が五年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。

出典:労働契約法18条1項

無期転換ルールのポイント

要件 内容
対象者 同一の使用者と有期労働契約を締結している労働者
通算期間 5年を超えること(6年目以降)
申込み 労働者からの申込みが必要
効果 使用者は申込みを承諾したものとみなされる
転換後の契約 期間の定めのない労働契約(無期契約)

注意すべきは、「5年働いたら自動的に正社員になれる」わけではないということです。

無期転換ルールにより転換されるのは、あくまで「期間の定めのない契約」であり、正社員と同じ待遇が保障されるわけではありません。

また、労働者自身が申込みを行う必要があります。

近年問題となっているのが「5年雇い止め」です。

これは、無期転換権が発生する直前(通算5年に達する前)に雇い止めを行い、無期転換を回避しようとする企業の行為を指します。

このような雇い止めは、無期転換ルールの趣旨に反するものとして、違法と判断される可能性があります。

60歳・65歳での雇い止めの注意点

高齢者の雇用に関しては、高年齢者雇用安定法により特別なルールが設けられています。

定年後の再雇用と雇い止めの関係は複雑なため、正しく理解しておく必要があります。

高年齢者雇用安定法の主な内容

  • 65歳までの雇用確保措置が義務化されている
  • 定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の廃止のいずれかを講じる必要がある
  • 70歳までの就業確保措置が努力義務となっている(2021年4月〜)

60歳で定年を迎えた後、有期契約の嘱託社員として再雇用されるケースが多くあります。

年齢 雇い止めの可否 備考
60歳〜65歳 原則として不可 65歳までの雇用確保措置義務があるため
65歳以降 一定の条件下で可能 ただし雇い止め法理の適用あり

65歳までは高年齢者雇用安定法により雇用確保措置が義務付けられているため、合理的な理由なく雇い止めを行うことは認められません。

一方、65歳以降については法律上の雇用確保義務がないため、雇い止めが認められやすくなります。

しかし、65歳以降であっても雇い止め法理の適用はあります。

長年にわたって更新が繰り返されてきた場合や、更新への合理的期待がある場合には、雇い止めが無効となる可能性があります。

定年後再雇用者の方も、自分の権利を正しく理解し、必要に応じて専門家に相談することが大切です。


雇い止め法理とは?労働契約法19条の内容

このセクションの内容

雇い止め法理は、有期契約労働者を保護するための重要な法理です。

もともとは裁判例の積み重ねによって形成されたものですが、2012年の労働契約法改正により第19条として明文化されました。

この法理を理解することで、自分の雇い止めが法的に有効なのか、それとも争う余地があるのかを判断できるようになります。

ここでは、雇い止め法理の内容を詳しく解説していきます。

雇い止め法理の成り立ちと趣旨

雇い止め法理は、1970年代から裁判所で形成されてきた判例法理です。

有期労働契約は本来、契約期間が終われば当然に終了するものですが、実態として無期契約に近い状態で働いている労働者を保護する必要性から発展しました。

雇い止め法理の発展の歴史

年代 出来事
1974年 東芝柳町工場事件最高裁判決(実質無期型の確立)
1986年 日立メディコ事件最高裁判決(更新期待型の確立)
2012年 労働契約法改正により19条として明文化

この法理の趣旨は、有期契約労働者の雇用の安定を図ることにあります。

有期契約だからといって、会社が自由に契約を打ち切れるわけではありません。

特に、長期間にわたって更新が繰り返されてきた場合や、労働者が更新を期待することに合理的な理由がある場合には、会社の雇い止めの自由は制限されます。

労働契約法19条は、この判例法理を条文化したものであり、有期契約労働者の権利保護を明確にしました。

労働契約法19条1号(実質無期型)

労働契約法19条1号は、有期労働契約が実質的に無期契約と異ならない状態にある場合を規定しています。

これは「実質無期型」と呼ばれ、東芝柳町工場事件の判例法理を明文化したものです。

当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

出典:労働契約法19条1号

実質無期型に該当する主なケース

  • 契約が長期間にわたって反復更新されている
  • 更新手続きが形式的・形骸化している
  • 業務内容が正社員と変わらない
  • 雇用継続を前提とした言動が会社からあった

このような状態にある場合、たとえ契約書上は「有期契約」であっても、実質的には期間の定めのない契約と同視されます。

そのため、雇い止めには解雇と同様の厳格な制限が課されることになります。

自分の状況がこれに該当するかどうかは、契約の更新回数、勤続年数、更新手続きの実態などを総合的に判断する必要があります。

労働契約法19条2号(更新期待型)

労働契約法19条2号は、労働者が契約更新を期待することに合理的な理由がある場合を規定しています。

これは「更新期待型」と呼ばれ、日立メディコ事件の判例法理を明文化したものです。

当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

出典:労働契約法19条2号

更新への合理的期待を判断する要素

判断要素 具体例
業務の性質 恒常的・継続的な業務か、臨時的・一時的な業務か
更新の回数 過去に何回更新されたか
雇用の通算期間 どれくらいの期間働いてきたか
契約更新時の説明 会社から継続雇用を示唆する発言があったか
同種労働者の更新状況 他の有期契約労働者はどのように扱われているか

実質無期型(1号)に該当しなくても、更新期待型(2号)に該当すれば雇い止め法理の保護を受けられます。

たとえば、更新回数が少なくても、会社から「長く働いてほしい」と言われていたり、同じ職場の他の契約社員が問題なく更新されていたりする場合は、更新への期待に合理性が認められる可能性があります。

雇い止めが無効となる要件

労働契約法19条1号または2号に該当する場合、雇い止めが無効となるためには追加の要件を満たす必要があります。

具体的には、雇い止めに「客観的に合理的な理由」がなく、「社会通念上相当」と認められない場合に、雇い止めは無効となります。

雇い止めが無効となる流れ

  1. 労働契約法19条1号または2号に該当する
  2. 労働者が契約更新の申込み(または締結の申込み)をしている
  3. 会社が雇い止めをする(更新を拒否する)
  4. 雇い止めに客観的に合理的な理由がない、または社会通念上相当と認められない
  5. 会社は従前と同一の労働条件で承諾したものとみなされる

雇い止めが無効となった場合の法的効果は重要です。

使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

出典:労働契約法19条柱書

つまり、雇い止めが無効となれば、これまでと同じ条件で契約が更新されたことになります。

労働者は引き続き働く権利を有し、会社は賃金を支払う義務を負います。

この「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」は、解雇の有効性を判断する基準と同様のものです。

したがって、雇い止め法理の適用がある場合、会社は事実上、解雇と同程度の厳格な制限を受けることになります。


雇い止めの正当な理由と不当な理由

このセクションの内容

雇い止めが有効かどうかは、その理由によって大きく左右されます。

正当な理由がある雇い止めは認められますが、不当な理由による雇い止めは無効となる可能性があります。

また、雇い止めが「会社都合」と「自己都合」のどちらに区分されるかは、失業保険の受給に直結する重要な問題です。

ここでは、雇い止めの正当性を判断する基準と、失業保険との関係について解説します。

正当な理由として認められるケース

雇い止めが正当と認められるためには、客観的に合理的な理由が必要です。

どのような理由であれば正当と認められるのか、具体的なケースを見ていきましょう。

正当な理由として認められやすいケース

理由の類型 具体例
経営上の理由 事業縮小、部門廃止、業績悪化による人員削減
労働者側の問題 勤務成績の著しい不良、重大な規律違反
業務遂行能力の欠如 業務に必要なスキル・資格の欠如
契約時の合意 契約締結時から更新しないことが明確だった

経営上の理由による雇い止めは、いわゆる「整理解雇」に近い性質を持ちます。

この場合、以下の4要素が考慮されることがあります。

  • 人員削減の必要性
  • 解雇回避努力
  • 人選の合理性
  • 手続きの妥当性

ただし、有期契約の雇い止めは正社員の整理解雇ほど厳格には判断されない傾向にあります。

労働者側の勤務態度や能力に問題がある場合も、雇い止めが認められることがあります。

しかし、会社は十分な指導・教育を行い、改善の機会を与えたうえで雇い止めを行う必要があります。

契約締結時から「更新しない」ことが明確に合意されていた場合は、雇い止めが認められやすくなります。

ただし、その後の言動で更新への期待を持たせていた場合は、この限りではありません。

不当な雇い止めとなるケース

法律で禁止されている理由に基づく雇い止めは、当然に無効となります。

また、制度の趣旨に反する意図で行われる雇い止めも、不当と判断される可能性が高くなります。

不当な雇い止めの典型例

  • 無期転換権の行使を阻止する目的での雇い止め(5年雇い止め)
  • 妊娠・出産を理由とした雇い止め(男女雇用機会均等法違反)
  • 育児休業・介護休業の取得を理由とした雇い止め(育児介護休業法違反)
  • 労働組合への加入や組合活動を理由とした雇い止め(不当労働行為)
  • 内部通報・公益通報を理由とした雇い止め(公益通報者保護法違反)

特に注意が必要なのは、5年直前での雇い止めです。

無期転換ルールを回避する目的で行われる雇い止めは、制度の趣旨に反するものとして違法と判断される可能性があります。

妊娠・出産や育児休業の取得を理由とする不利益取扱いは法律で明確に禁止されています。

事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定する定めをしてはならない。

出典:男女雇用機会均等法9条1項

表向きは別の理由を挙げていても、実質的にこれらの事由が理由となっている場合は不当な雇い止めとなります。

もし心当たりがある場合は、労働局の雇用環境・均等部(室)に相談することをおすすめします。

会社都合か自己都合か?雇い止めの離職区分

雇い止めされた場合、失業保険(雇用保険の基本手当)の受給において「会社都合」と「自己都合」のどちらに区分されるかは非常に重要です。

この区分によって、給付開始時期や給付日数が大きく異なります。

会社都合と自己都合の違い

項目 会社都合 自己都合
給付制限期間 なし 原則2ヶ月
給付日数 長い(90〜330日) 短い(90〜150日)
該当する離職理由 倒産、解雇、雇い止め等 自己の意思による退職

雇い止めは原則として会社都合として扱われます。

労働者が更新を希望したにもかかわらず会社が更新を拒否した場合、これは労働者の意思によらない離職だからです。

ハローワークでは、雇い止めされた労働者を「特定受給資格者」または「特定理由離職者」として認定することがあります。

特定受給資格者・特定理由離職者に該当するケース

  • 契約更新を希望したが更新されなかった(特定理由離職者)
  • 3年以上雇用されていて更新されなかった(特定受給資格者)
  • 会社から更新を示唆されていたのに更新されなかった(特定受給資格者)

これらに該当すれば、給付制限なしで失業保険を受け取ることができます。

離職票を受け取ったら、離職理由が正しく記載されているか必ず確認しましょう。

もし実態と異なる記載があれば、ハローワークで異議を申し立てることができます。


雇い止めの手続きとルール【使用者が守るべき基準】

このセクションの内容

雇い止めを行う使用者には、法律や告示によって様々な義務が課されています。

これらのルールを理解しておくことは、労働者にとっても重要です。

会社がルールを守っていない場合、雇い止めの有効性に影響を与える可能性があるからです。

ここでは、使用者が守るべき雇い止めの手続きとルールについて詳しく解説します。

雇い止め予告の義務

使用者は、一定の場合に雇い止めの予告を行う義務を負っています。

この予告義務は、労働者が次の就職先を探す時間を確保するために設けられています。

厚生労働省の告示では、以下のように定められています。

使用者は、有期労働契約(中略)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約の期間の満了する日の三十日前までに、その予告をしなければならない。

出典:有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(厚労省告示)

雇い止め予告が必要となる場合

条件 内容
3回以上更新されている場合 更新回数が3回以上の有期労働契約
1年を超えて継続勤務している場合 最初の契約から通算して1年を超える場合
1年を超える契約期間の場合 契約期間自体が1年を超える場合

これらのいずれかに該当する場合、使用者は契約満了日の30日前までに雇い止めの予告をしなければなりません。

もし使用者がこの予告義務を怠った場合、法律上は30日分の賃金を支払う義務が生じます。

これは解雇予告手当に相当するものです。

予告は口頭でも有効ですが、後のトラブルを避けるため、書面で行われることが望ましいとされています。

予告を受けた場合は、日付を記録しておくことをおすすめします。

雇い止めの理由明示義務

使用者は、労働者から請求があった場合、雇い止めの理由を書面で明示する義務を負っています。

この義務は、労働者が雇い止めの正当性を判断し、必要に応じて争う機会を確保するために設けられています。

理由明示義務のポイント

  • 労働者から請求があった場合に義務が発生する
  • 遅滞なく書面で交付しなければならない
  • 「契約期間満了のため」だけでは不十分
  • 具体的な理由を記載する必要がある

明示すべき理由の具体例としては、以下のようなものがあります。

  • 事業の縮小のため
  • 担当していた業務が終了したため
  • 勤務成績が不良のため
  • 契約更新の上限に達したため

労働者は、遠慮せずに理由の明示を求めるべきです。

書面での理由明示は、その後の交渉や法的手続きにおいて重要な証拠となります。

会社が理由の明示を拒否したり、曖昧な理由しか示さない場合は、雇い止めの正当性に疑問が生じます。

契約締結時・更新時の明示義務

使用者には、有期労働契約の締結時や更新時に、一定の事項を明示する義務があります。

2024年4月からは、無期転換申込権に関する明示義務も追加されました。

契約締結時・更新時に明示すべき事項

明示事項 内容
契約更新の有無 更新する場合がある/更新しない 等
更新の判断基準 業務量、勤務成績、会社の経営状況 等
無期転換申込権の有無 2024年4月以降、申込機会がある場合に明示義務
無期転換後の労働条件 2024年4月以降、転換後の条件を明示

これらの事項は、労働条件通知書や雇用契約書に記載されているはずです。

契約締結時や更新時には、必ず書面を受け取り、内容を確認しておきましょう。

特に重要なのは「更新の判断基準」です。

ここに記載されている基準に照らして、自分の雇い止めが正当かどうかを判断することができます。

もし明示されていない基準を理由に雇い止めされた場合、その正当性に疑問が生じます。

2024年4月の改正により、無期転換申込権に関する情報も明示されるようになりました。

自分に無期転換申込権があるかどうか、契約書で確認しておくことが大切です。

契約期間についての配慮義務

使用者には、有期労働契約の契約期間について配慮する努力義務があります。

これは、短期間の契約を繰り返すことによる労働者の不安定な地位を改善するための規定です。

使用者は、有期労働契約(中略)について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。

出典:労働契約法17条2項

契約期間の配慮義務のポイント

  • できる限り長期の契約期間を設定する努力義務
  • 必要以上に短い契約期間の反復更新を避ける
  • 労働者の雇用安定に配慮する

たとえば、恒常的に必要な業務なのに3ヶ月ごとの契約更新を繰り返すようなケースは、この配慮義務に反する可能性があります。

もちろん、業務の性質上短期間の契約が合理的な場合もあります。

しかし、単に雇い止めを容易にする目的で短期契約を繰り返すことは適切ではありません。

この配慮義務は努力義務であり、違反しても直接の法的制裁はありません。

しかし、雇い止めの正当性を判断する際の考慮要素となる可能性があります。


雇い止めに関する重要判例

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雇い止め法理は、裁判所の判例によって形成されてきました。

代表的な判例を理解することで、自分のケースがどのように判断される可能性があるか、見通しを立てることができます。

ここでは、雇い止め法理の基礎を築いた2つの最高裁判例と、近年の重要な裁判例について解説します。

東芝柳町工場事件(最判昭和49年7月22日)

東芝柳町工場事件は、雇い止め法理の原点となった歴史的な判例です。

この判決により「実質無期型」の雇い止め法理が確立されました。

事案の概要

項目 内容
当事者 東芝の工場で働く臨時工(女性労働者)
契約形態 2ヶ月の有期労働契約
更新