適応障害で傷病手当がもらえない?受給条件・申請方法・よくある失敗例を徹底解説

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結論からお伝えすると、適応障害でも傷病手当金を受給することは可能です。

ただし、受給するためにはいくつかの条件を満たす必要があり、申請方法を間違えると支給されないケースもあります。

条件として、健康保険(社会保険)の被保険者であること、業務外の事由による傷病であることなど5つがあげられます。

また、条件を満たした後は医療機関を受診し診断を受けるだけではなく会社への休職届など5つのステップを踏む必要があります。

仕組みを解説

適応障害と診断されて休職を検討している方にとって、経済的な不安は大きな問題です。

しかし、適応障害であっても傷病手当金を受給できることをご存知でしょうか。

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときに、健康保険から支給される給付金です。

精神疾患である適応障害も、医師から「労務不能」と診断されれば支給対象となります。

ここでは、傷病手当金の基本的な仕組みと、適応障害が対象となる理由について詳しく解説します。

傷病手当金とは?制度の概要と目的

傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が、業務外の病気やケガによって働けなくなった場合に支給される給付金です。

この制度の目的は、療養中の所得を保障し、安心して治療に専念できる環境を整えることにあります。

傷病手当金の基本情報を以下にまとめました。

項目 内容
支給元 健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)
支給対象 業務外の病気やケガで働けない被保険者
支給額 標準報酬月額の約3分の2
支給期間 通算1年6ヶ月
申請方法 傷病手当金支給申請書を健康保険に提出

傷病手当金は、会社員や公務員など、社会保険に加入している方が利用できる制度です。

国民健康保険に加入している自営業者やフリーランスの方は、原則として対象外となります。

また、傷病手当金は非課税所得のため、受給しても所得税はかかりません。

休職中の生活を支える重要な制度なので、条件を満たす方は積極的に活用しましょう。

適応障害が傷病手当金の対象となる理由

「適応障害は軽い病気だから傷病手当金の対象外では?」と心配される方もいますが、これは誤解です。

適応障害は、ICD-10(国際疾病分類)でF43.2に分類される正式な精神疾患です。

傷病手当金の支給要件は「労務不能であること」であり、病名の軽重は問われません。

適応障害が傷病手当金の対象となる根拠は以下のとおりです。

  • 医師が「労務不能」と判断すれば、病名に関係なく支給対象となる
  • うつ病や不安障害と同様に、精神疾患として健康保険の給付対象に含まれる
  • 症状の程度や治療の必要性は医師が判断する

健康保険法第99条では、「被保険者が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する」と定められています。

この規定には、特定の病名を除外する条項はありません。

つまり、適応障害であっても、医師が「仕事ができない状態」と判断すれば、傷病手当金を受給する資格があるのです。

診断書や医師の意見書で「労務不能」と明記してもらうことが重要になります。

傷病手当金と労災保険の違い|どちらを申請すべきか

適応障害の原因がパワハラや過重労働など、業務に起因する場合は、傷病手当金ではなく労災保険の対象となる可能性があります。

両者の違いを正しく理解し、適切な制度に申請することが大切です。

傷病手当金と労災保険の比較表をご覧ください。

項目 傷病手当金 労災保険
対象となる傷病 業務外の傷病 業務上の傷病
支給元 健康保険 労働者災害補償保険
支給額 標準報酬月額の約2/3 給付基礎日額の約80%
支給期間 通算1年6ヶ月 治癒するまで
申請先 健康保険組合・協会けんぽ 労働基準監督署

パワハラや長時間労働が原因で適応障害を発症した場合、以下の点に注意が必要です。

  • 労災認定されると、傷病手当金より高い給付を受けられる可能性がある
  • 労災と傷病手当金を同時に受給することはできない
  • 傷病手当金を先に受給し、後から労災認定されるケースもある

労災申請を検討する場合は、パワハラの証拠(メール、録音、日記など)を残しておくことが重要です。

判断に迷う場合は、労働基準監督署や社会保険労務士に相談することをおすすめします。


適応障害で傷病手当金がもらえない7つの理由と対処法

傷病手当金を申請したのに支給されなかった、という声は少なくありません。

実は、傷病手当金が支給されないケースには、いくつかの共通したパターンがあります。

ここでは、適応障害で傷病手当金がもらえない7つの理由と、それぞれの対処法を詳しく解説します。

事前に把握しておくことで、申請時のトラブルを防ぐことができます。

このセクションの内容

【理由①】健康保険に加入していない

傷病手当金は、健康保険(社会保険)の被保険者だけが受給できる制度です。

国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度が存在しません。

健康保険の種類による違いを確認しましょう。

保険の種類 傷病手当金の有無 主な加入者
協会けんぽ あり 中小企業の会社員
健康保険組合 あり 大企業の会社員
共済組合 あり 公務員・教職員
国民健康保険 原則なし 自営業・フリーランス

対処法としては、以下の点を確認してください。

  • 現在加入している健康保険の種類を確認する
  • 国民健康保険の場合は、一部の自治体で独自の傷病手当金制度がある場合もある
  • パートやアルバイトでも、週20時間以上勤務などの条件を満たせば社会保険に加入できる

自分が社会保険に加入しているかどうかは、健康保険証を見れば確認できます。

保険証に「協会けんぽ」「〇〇健康保険組合」などの記載があれば、傷病手当金の対象となります。

【理由②】待期期間3日間を満たしていない

傷病手当金を受給するためには、「待期期間」と呼ばれる連続3日間の休業が必要です。

この3日間は、有給休暇や土日祝日を含めてカウントすることができます。

待期期間の成立条件について整理します。

  • 連続3日間の休業が必須(飛び飛びの3日間では成立しない)
  • 待期期間中は傷病手当金は支給されない
  • 4日目以降が傷病手当金の支給対象となる
  • 待期期間中に有給休暇を取得しても問題ない

全国健康保険協会(協会けんぽ)の資料によると、「待期には、有給休暇、土日・祝日等の公休日も含まれます」と明記されています。
参考:全国健康保険協会 傷病手当金について

例えば、金曜日に体調を崩して休み、土日を挟んだ場合、金・土・日の3日間で待期期間が成立します。

月曜日以降の休業分から傷病手当金が支給されることになります。

待期期間を正しく理解し、申請書の日付に矛盾がないよう注意しましょう。

【理由③】医師の「労務不能」の証明がない

傷病手当金の申請には、医師による「労務不能」の証明が不可欠です。

診断書があるだけでは不十分で、傷病手当金支給申請書の「療養担当者記入欄」に医師が直接記入する必要があります。

医師の証明に関する注意点は以下のとおりです。

  • 傷病手当金申請書には医師の「意見書」欄があり、ここに労務不能の期間と理由を記載してもらう
  • 通院していない期間は、医師が労務不能を証明できない場合がある
  • 定期的な通院を続けることで、継続的な証明を受けやすくなる
書類 役割 傷病手当金申請に必要か
診断書 病名・症状を証明 会社への提出用(申請には不十分)
傷病手当金申請書 労務不能を証明 必須
医師の意見書 申請書内の記入欄 必須

医師に申請書への記入を依頼する際は、通院日に持参して直接お願いするのがスムーズです。

記入に数日から1週間程度かかる場合もあるため、余裕を持って依頼しましょう。

【理由④】給与が支払われている

傷病手当金は、休職中に給与が支払われていない場合に支給される制度です。

会社から給与が全額支払われている場合は、傷病手当金は支給されません。

給与と傷病手当金の関係を整理しましょう。

状況 傷病手当金の支給
給与が全額支払われている 支給されない
給与が一部支払われている 差額が支給される
給与が全く支払われていない 全額支給される
有給休暇を取得中 支給されない

具体的な例を挙げると、傷病手当金の日額が5,000円で、会社から日額3,000円の給与が支払われている場合は、差額の2,000円が傷病手当金として支給されます。

有給休暇を消化してから傷病手当金に切り替えるのか、最初から傷病手当金を申請するのかは、会社の制度や個人の状況によって判断が分かれます。

どちらが有利かは、有給休暇の残日数や給与額によって異なるため、事前に計算してみることをおすすめします。

【理由⑤】申請書の記載内容に不備・矛盾がある

傷病手当金の申請が通らない原因として、申請書の記載不備も多く見られます。

特に、本人記入欄・医師記入欄・事業主記入欄の内容に矛盾があると、審査で差し戻されることがあります。

よくある記載不備の例を確認しましょう。

  • 申請期間と医師が証明した労務不能期間が一致していない
  • 事業主証明欄の勤務状況と、本人の申告内容が食い違っている
  • 傷病の原因が曖昧で、業務上か業務外か判断できない
  • 振込先口座の情報に誤りがある

申請書を提出する前に、以下のチェックポイントを確認してください。

チェック項目 確認内容
申請期間 本人・医師・事業主の記載が一致しているか
傷病名 医師の診断名と一致しているか
口座情報 口座番号・名義に誤りがないか
押印 必要な箇所にすべて押印されているか

不備があると審査が長引くだけでなく、最悪の場合は支給されない可能性もあります。

提出前に必ず全体を見直し、不明点があれば健康保険組合に問い合わせましょう。

【理由⑥】退職後に継続受給の要件を満たしていない

傷病手当金は、退職後も条件を満たせば継続して受給できます。

しかし、退職後の継続受給には厳しい要件があり、これを満たしていないと支給が打ち切られます。

退職後の継続受給に必要な要件は以下のとおりです。

  • 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があること
  • 退職日に傷病手当金を受給しているか、受給できる状態にあること
  • 退職日に出勤していないこと(出勤すると資格を失う)

全国健康保険協会によると、「資格喪失後の継続給付を受けるためには、資格喪失日の前日(退職日)に傷病手当金を受けているか、受けられる状態であることが必要です」とされています。
参考:全国健康保険協会 資格喪失後の継続給付

特に注意が必要なのは、退職日の出勤についてです。

退職日に少しでも出勤すると、「労務可能だった」と判断され、継続受給の資格を失ってしまいます。

引き継ぎなどで出勤したい気持ちがあっても、傷病手当金の継続受給を希望する場合は、退職日は必ず休むようにしましょう。

また、任意継続被保険者として健康保険に加入した場合でも、任意継続加入後に新たに発生した傷病では傷病手当金を申請できません。

【理由⑦】支給期間(通算1年6ヶ月)を超過している

傷病手当金の支給期間は、通算で1年6ヶ月と定められています。

この期間を超えて休職した場合は、傷病手当金の支給は打ち切られます。

支給期間に関する重要なポイントをまとめます。

項目 内容
支給期間 通算1年6ヶ月(2022年1月以降)
計算方法 実際に傷病手当金を受給した日数をカウント
復職期間 復職中は支給期間に含まれない
法改正前 2021年12月以前は「起算日から1年6ヶ月」だった

2022年1月の法改正により、支給期間が「起算日から1年6ヶ月」から「通算1年6ヶ月」に変更されました。

これにより、復職と休職を繰り返した場合でも、実際に受給した日数だけがカウントされるようになりました。

過去に同じ傷病で傷病手当金を受給したことがある場合は、残りの支給期間を確認することが大切です。

健康保険組合に問い合わせれば、過去の受給履歴と残りの支給期間を教えてもらえます。


【知恵袋でも話題】適応障害の傷病手当でよくある失敗事例と回避策

インターネット上の掲示板やQ&Aサイトでは、適応障害の傷病手当金に関する悩みや失敗談が多く投稿されています。

「申請したのに通らなかった」「会社が協力してくれない」といった声は、決して珍しいものではありません。

ここでは、実際によくある失敗事例とその回避策を紹介します。

同じ失敗をしないために、事前に確認しておきましょう。

このセクションの内容

「診断書はあるのに申請が通らない」ケースの原因

「医師から診断書をもらったのに、傷病手当金が支給されなかった」という相談は非常に多いです。

この原因は、診断書と傷病手当金申請書が別物であることへの理解不足にあります。

診断書と傷病手当金申請書の違いを確認しましょう。

書類 内容 用途
診断書 病名・症状・療養期間などを記載 会社への休職届、保険会社への請求など
傷病手当金申請書 労務不能の証明を含む4枚の書類 傷病手当金の申請

傷病手当金を申請するためには、専用の「傷病手当金支給申請書」が必要です。

この申請書には、医師が記入する「療養担当者記入欄」があり、ここに労務不能の期間や理由を記載してもらう必要があります。

診断書だけでは、傷病手当金の申請はできません。

回避策として、以下の点を覚えておいてください。

  • 傷病手当金支給申請書は、加入している健康保険から入手する
  • 協会けんぽの場合は、ホームページからダウンロード可能
  • 医師には診断書ではなく、申請書への記入を依頼する

「会社が申請に協力してくれない」場合の対応方法

傷病手当金の申請には、原則として事業主(会社)の証明が必要です。

しかし、会社との関係が悪化していたり、退職済みだったりすると、協力を得られないケースがあります。

会社が協力してくれない場合の対処法は以下のとおりです。

  • 事業主証明がなくても、申請書の提出自体は可能
  • 健康保険組合や協会けんぽに直接相談し、事情を説明する
  • 証明が得られない理由を申請書に記載する
  • 社会保険労務士や弁護士に相談して、会社への働きかけを依頼する

全国健康保険協会では、事業主の証明がなくても申請を受け付けており、「事業主の証明が得られない場合は、その旨を申請書に記載してください」と案内しています。

会社が証明を拒否する正当な理由は基本的にありません。

それでも協力が得られない場合は、労働基準監督署や都道府県労働局に相談することも検討しましょう。

相談先 対応内容
健康保険組合・協会けんぽ 申請手続きに関する相談
社会保険労務士 申請代行・書類作成サポート
弁護士 会社との交渉・法的対応
労働基準監督署 会社の不当な対応への指導

「パワハラが原因の適応障害」で傷病手当を申請する際の注意点

パワハラや過重労働が原因で適応障害を発症した場合、傷病手当金ではなく労災保険の対象となる可能性があります。

この点を理解せずに申請すると、後からトラブルになることがあります。

パワハラが原因の適応障害で注意すべき点は以下のとおりです。

  • 業務起因性が認められると、労災保険の対象となる
  • 労災の方が給付額が高く、期間の制限も緩い
  • 傷病手当金と労災保険は同時に受給できない
  • 傷病手当金を先に受給し、後から労災認定されるケースもある

労災認定を見据えて、以下の証拠を残しておくことが重要です。

証拠の種類 具体例
文書記録 パワハラメール、業務指示書、残業記録
音声記録 暴言の録音
第三者証言 同僚や上司の証言
日記・メモ 日々の出来事を記録したもの

傷病手当金の申請書に「業務上のストレスが原因」と記載すると、業務外の傷病を対象とする傷病手当金の支給が認められない可能性があります。

傷病の原因の書き方については、医師や社会保険労務士に相談することをおすすめします。


適応障害で傷病手当金を受給するための5つの条件

傷病手当金を確実に受給するためには、5つの条件をすべて満たす必要があります。

1つでも欠けると支給されないため、申請前に必ず確認しておきましょう。

ここでは、それぞれの条件について詳しく解説します。

このセクションの内容

【条件①】健康保険(社会保険)の被保険者であること

傷病手当金を受給するための第一の条件は、健康保険の被保険者であることです。

家族の扶養に入っている「被扶養者」は、傷病手当金の対象外となります。

対象となる健康保険の種類は以下のとおりです。

保険の種類 傷病手当金の対象 備考
協会けんぽ 中小企業の会社員が加入
組合健保 大企業の会社員が加入
共済組合 公務員・教職員が加入
国民健康保険 × 自営業・フリーランスが加入
後期高齢者医療制度 × 75歳以上が加入

自分が被保険者かどうかは、健康保険証の「被保険者」欄を確認すればわかります。

「被扶養者」と記載されている場合は、傷病手当金を受給することはできません。

パートやアルバイトでも、一定の条件を満たせば社会保険に加入できます。

週20時間以上の勤務や、月額賃金8.8万円以上などの条件を確認してみましょう。

【条件②】業務外の事由による傷病であること

傷病手当金は、業務外の病気やケガを対象とした制度です。

業務上の傷病は労災保険の対象となるため、傷病手当金ではカバーされません。

業務外と業務上の判断基準を確認しましょう。

業務外の傷病として認められる例

プライベートでの人間関係のトラブル、家庭環境の変化、引っ越しや転居によるストレスなどが原因で適応障害を発症した場合は、業務外の傷病として傷病手当金の対象となります。

業務上の傷病と判断される可能性がある例

パワハラ、セクハラ、過重労働、職場の人間関係など、仕事に関連するストレスが原因の場合は、労災保険の対象となる可能性があります。

傷病手当金申請書の「傷病の原因」欄には、業務外であることがわかるように記載する必要があります。

「職場環境の変化」「人間関係の悩み」などの表現が一般的ですが、業務起因性を疑われないよう注意が必要です。

【条件③】療養のため労務に服することができないこと

傷病手当金を受給するためには、医師から「労務不能」と判断されることが必要です。

「労務不能」とは、その人が従事している業務ができない状態を指します。

労務不能の判断基準について整理します。

判断のポイント 内容
判断者 医師(主治医)
判断基準 被保険者が従事している業務ができるかどうか
参考要素 症状の程度、仕事の内容、治療の必要性

労務不能の基準は、仕事の内容によって異なります。

例えば、デスクワークの人と肉体労働の人では、同じ症状でも労務不能と判断されるかどうかが変わる可能性があります。

医師に正確に判断してもらうために、自分の仕事内容や症状を詳しく伝えることが大切です。

通院時には、日常生活の様子や仕事への影響について、具体的に説明しましょう。

【条件④】連続3日間の待期期間を完成させていること

傷病手当金の支給には、連続3日間の「待期期間」を満たすことが条件です。

この3日間は傷病手当金が支給されず、4日目以降から支給が開始されます。

待期期間に関する重要なルールは以下のとおりです。

  • 3日間は連続している必要がある(飛び飛びは不可)
  • 有給休暇、土日祝日も待期期間に含めることができる
  • 待期期間中に給与が支払われていても問題ない
  • 一度成立した待期期間は、同一傷病では再度必要ない

待期期間の成立例を見てみましょう。

待期1日目 待期2日目 待期3日目 支給開始

金曜日に体調を崩して休んだ場合、金・土・日で待期期間が成立し、月曜日から傷病手当金が支給されます。

土日が公休日であっても、待期期間にカウントできるため覚えておきましょう。

【条件⑤】休業期間中に給与の支払いがないこと

傷病手当金は、休職中に給与が支払われていない場合に支給されます。

給与が全額支払われている期間は、傷病手当金を受給することができません。

給与と傷病手当金の関係を再確認しましょう。

給与の状況 傷病手当金
給与なし 全額支給
給与が傷病手当金より少ない 差額を支給
給与が傷病手当金以上 支給なし
有給休暇取得中 支給なし

有給休暇を使うか、傷病手当金を申請するかは、以下の点を考慮して判断しましょう。

  • 有給休暇は給与の100%が支給されるが、日数に限りがある
  • 傷病手当金は給与の約2/3だが、通算1年6ヶ月まで受給可能
  • 有給休暇は退職時に買い取ってもらえないことが多い
  • 長期休職が見込まれる場合は、有給を温存する選択肢もある

どちらが有利かは個人の状況によって異なるため、休職前に検討しておくことをおすすめします。


傷病手当金の支給額と計算方法|手取り20万円ならいくらもらえる?

傷病手当金を申請する前に、実際にいくらもらえるのか知っておきたい方は多いでしょう。

ここでは、傷病手当金の計算方法と、具体的な支給額のシミュレーションを紹介します。

自分のケースに当てはめて、おおよその金額を把握しておきましょう。

このセクションの内容

傷病手当金の計算式と支給額の目安

傷病手当金の支給額は、「標準報酬月額」をもとに計算されます。

計算式は以下のとおりです。

支給日額 = 支給開始日以前12ヶ月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30 × 2/3

この計算式について、詳しく解説します。

用語 意味
標準報酬月額 健康保険料の計算基準となる月額給与の等級
支給開始日以前12ヶ月間 傷病手当金の支給が始まる日から遡った12ヶ月
2/3 傷病手当金の支給率(約66.7%)

標準報酬月額は、実際の手取り給与とは異なります。

交通費を含んだ総支給額をもとに決定され、50等級に区分されています。

ボーナス(賞与)は標準報酬月額に含まれないため、傷病手当金の計算には反映されません。

年収に占めるボーナスの割合が大きい方は、傷病手当金が思ったより少なくなる可能性があります。

【具体例】手取り20万円の場合のシミュレーション

手取り20万円の方が傷病手当金を受給する場合、いくらもらえるのかシミュレーションしてみましょう。

まず、手取り20万円から額面給与を推定します。

項目 金額
手取り給与 200,000円
推定額面給与 約250,000円
推定標準報酬月額 260,000円(22等級)

標準報酬月額260,000円の場合の傷病手当金を計算します。

  • 支給日額 = 260,000円 ÷ 30 × 2/3 = 約5,778円
  • 月額(30日) = 5,778円 × 30 = 約173,340円

全国健康保険協会の傷病手当金計算ツールによると、標準報酬月額26万円の場合、1日あたりの支給額は約5,780円となります。
参考:全国健康保険協会 傷病手当金について

手取り20万円の方の場合、傷病手当金は月額約17万円前後が目安となります。

実際の金額は加入している健康保険組合や、過去12ヶ月の標準報酬月額によって変動します。

正確な金額を知りたい場合は、健康保険組合に問い合わせてみましょう。

傷病手当金の支給期間|最長1年6ヶ月の「通算」ルール

傷病手当金の支給期間は、同一の傷病について通算1年6ヶ月です。

2022年1月の法改正により、支給期間の計算方法が変更されました。

時期 支給期間の計算方法
2021年12月まで 支給開始日から暦上の1年6ヶ月
2022年1月以降 実際に支給を受けた日数を通算して1年6ヶ月

この法改正により、復職と休職を繰り返す場合でも、傷病手当金を受給しやすくなりました。

具体例を見てみましょう。

  • 適応障害で3ヶ月休職して傷病手当金を受給
  • その後、復職して6ヶ月間働く
  • 再び適応障害が悪化して休職

この場合、法改正前は復職期間も含めて1年6ヶ月がカウントされていたため、残りの受給可能期間が短くなっていました。

法改正後は、実際に傷病手当金を受給した3ヶ月分のみがカウントされるため、残り1年3ヶ月分の受給が可能です。

適応障害で2回目の休職をする場合でも、支給期間内であれば傷病手当金を受給できます。


適応障害で傷病手当金を申請する具体的な手順と記入例

傷病手当金の申請は、必要書類を揃えて健康保険に提出するだけですが、手順を間違えると審査に時間がかかったり、支給されなかったりすることがあります。

ここでは、申請の具体的な流れと、申請書の記入ポイントを詳しく解説します。

初めて申請する方でもスムーズに手続きできるよう、ステップごとに説明します。

このセクションの内容

【STEP1】医療機関を受診し診断を受ける

傷病手当金を申請するためには、まず医師の診断を受ける必要があります。

適応障害が疑われる場合は、心療内科または精神科を受診しましょう。

受診時に伝えるべき内容は以下のとおりです。

伝えるべき内容 具体例
症状 眠れない、食欲がない、涙が止まらないなど
症状が始まった時期 〇月頃から
思い当たる原因 職場環境の変化、人間関係など
日常生活への影響 仕事に行けない、家事ができないなど

医師に「休職が必要」と判断された場合は、その旨を伝えてもらいましょう。

休職に必要な診断書を発行してもらい、会社に提出します。

なお、傷病手当金の申請書への記入は、診断書の発行とは別に依頼する必要があります。

通院を続けることで、傷病手当金の継続申請に必要な医師の証明を受けやすくなります。

【STEP2】会社に休職の届出をする

医師から休職が必要と診断されたら、会社に休職の届出をします。

就業規則で休職制度の内容を確認しておくことが大切です。

休職届を出す際に確認すべき事項は以下のとおりです。

  • 休職期間の上限(就業規則で定められている)
  • 休職中の給与の有無(無給の場合は傷病手当金を申請)
  • 休職中の社会保険料の取り扱い(自己負担分の支払い方法)
  • 休職中の連絡方法や頻度
  • 復職時の手続き

診断書は、休職届と一緒に会社に提出するのが一般的です。

上司や人事部門と相談し、必要な書類や手続きを確認しましょう。

休職中も社会保険料の自己負担分は発生するため、支払い方法(会社への振込など)も確認しておく必要があります。

【STEP3】傷病手当金支給申請書を入手する

休職が決まったら、傷病手当金支給申請書を入手します。

加入している健康保険によって、入手方法が異なります。

健康保険の種類 申請書の入手方法
協会けんぽ ホームページからダウンロード、または各都道府県支部で入手
健康保険組合 組合のホームページ、または総務・人事部門経由で入手
共済組合 組合の窓口、またはホームページからダウンロード

傷病手当金支給申請書は、4枚1セットで構成されています。

  • 被保険者記入用(2枚)
  • 事業主記入用(1枚)
  • 療養担当者(医師)記入用(1枚)

すべての書類を揃えて提出する必要があるため、漏れがないように注意しましょう。

協会けんぽの場合は、ホームページから申請書をダウンロードできます。

協会けんぽホームページ:傷病手当金支給申請書

【STEP4】申請書の各欄を記入する|適応障害の原因の書き方

申請書を入手したら、被保険者記入欄に必要事項を記入します。

記入する主な項目は以下のとおりです。

記入欄 記入内容
被保険者証の記号・番号 健康保険証に記載されている番号
氏名・住所 現住所を正確に記入
振込先口座 傷病手当金の振込先(本人名義の口座)
傷病名 適応障害
傷病の原因 発症のきっかけとなった状況
申請期間 傷病手当金を申請する期間

「傷病の原因」欄の書き方には注意が必要です。

業務上の傷病と判断されると、傷病手当金ではなく労災の対象となる可能性があります。

傷病の原因の記入例を紹介します。

  • 「環境の変化によるストレス」
  • 「生活環境の変化に伴う精神的負担」
  • 「対人関係のストレス」

「パワハラ」「過重労働」など、業務起因性を示す表現は避けた方が無難です。

ただし、虚偽の記載は問題になるため、事実に基づいて記入しましょう。

判断に迷う場合は、医師や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

【STEP5】医師に「療養担当者記入欄」を依頼する

申請書の「療養担当者記入欄」は、主治医に記入してもらう必要があります。

通院時に申請書を持参し、記入を依頼しましょう。

医師への依頼時に伝えるべき内容は以下のとおりです。

  • 傷病手当金を申請したいこと
  • 申請期間(〇月〇日から〇月〇日まで)
  • 労務不能であることを証明してほしいこと

医師の記入には、数日から1週間程度かかることがあります。

申請期間に余裕を持って依頼することが大切です。

なお、医師の記入には文書料(300〜1,000円程度)がかかる場合があります。

項目 金額の目安
傷病手当金申請書の記入 300〜1,000円程度
診断書の発行 2,000〜5,000円程度

金額は医療機関によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。

【STEP6】会社に「事業主記入欄」の証明を依頼する

申請書の「事業主記入欄」は、会社に記入してもらう必要があります。

会社の総務部門や人事部門に依頼するのが一般的です。

事業主記入欄の内容は以下のとおりです。

記入項目 内容
勤務状況 申請期間中の出勤日数
給与の支払い状況 申請期間中に支払われた給与の有無・金額
賃金計算方法 月給制、日給制など

退職後に申請する場合でも、元の勤務先に事業主証明を依頼することができます。

会社には事業主証明を行う義務があるため、退職後でも拒否することは原則としてできません。

会社が証明に協力してくれない場合は、健康保険組合に相談しましょう。

事業主証明がなくても、申請書の提出自体は可能です。

【STEP7】健康保険組合・協会けんぽに申請書を提出する

すべての記入欄が埋まったら、健康保険組合または協会けんぽに申請書を提出します。

提出方法は、郵送または窓口への持参が一般的です。

提出先 提出方法
協会けんぽ 各都道府県支部に郵送または持参
健康保険組合 組合の窓口に郵送または持参

申請書の提出から支給までの流れは以下のとおりです。

  1. 申請書を提出
  2. 健康保険組合による審査(約2週間〜1ヶ月)
  3. 支給決定通知書の送付
  4. 指定口座への振込

申請書に不備があると、差し戻しになって支給が遅れることがあります。

提出前に、以下の点を再度確認しましょう。

  • すべての記入欄が埋まっているか
  • 本人・医師・事業主の申請期間が一致しているか
  • 押印漏れはないか
  • 添付書類(初回申請時のみ必要な書類など)はあるか

適応障害で傷病手当金を受給するメリット・デメリット

傷病手当金は休職中の生活を支える重要な制度ですが、メリットだけでなくデメリットも理解しておくことが大切です。

ここでは、傷病手当金を受給するメリットとデメリット、そして受給中の注意点を解説します。

このセクションの内容

傷病手当金を受給する4つのメリット

傷病手当金を受給することで、以下のようなメリットがあります。

メリット 内容
収入の確保 休職中も給与の約2/3の収入を得られる
治療への専念 経済的な不安を軽減し、療養に集中できる
退職後も受給可能 条件を満たせば退職後も継続して受給できる
被保険者資格の維持 休職中も健康保険の被保険者資格が維持される

傷病手当金は非課税所得のため、所得税がかかりません。

また、傷病手当金を受給している期間も、健康保険の被保険者としての資格は維持されます。

医療費の3割負担も引き続き適用されるため、治療を続けやすい環境が整います。

退職を検討している場合でも、条件を満たせば退職後も継続して傷病手当金を受給できます。

無収入になる不安を軽減できるのは、大きなメリットといえるでしょう。

傷病手当金を受給する際の3つのデメリット・注意点

一方で、傷病手当金には以下のようなデメリットや注意点もあります。

デメリット・注意点 内容
給与の全額補償ではない 支給額は給与の約2/3にとどまる
支給までに時間がかかる 申請から支給まで約1ヶ月かかる
転職への影響の不安 傷病手当金の受給歴が知られるのでは?という心配

傷病手当金は給与の約2/3が支給されますが、逆に言えば約1/3は収入が減ることになります。

住宅ローンや生活費の支出が大きい方は、事前に家計のシミュレーションをしておくと安心です。

また、申請から支給までに約1ヶ月かかるため、すぐにお金が必要な場合は注意が必要です。

休職が決まったら、できるだけ早く申請手続きを始めましょう。

転職への影響については、傷病手当金の受給歴が転職先に通知されることはありません。

ただし、源泉徴収票から休職期間を推測される可能性はあるため、面接での説明を準備しておくと良いでしょう。

傷病手当金受給中にやってはいけないこと

傷病手当金を受給中は、以下の行為に注意が必要です。

虚偽の申請

実際には働ける状態なのに、労務不能と偽って申請することは詐欺罪に該当する可能性があります。

医師の指示に従わない療養

治療を中断したり、医師の指示を無視した行動をとると、傷病手当金の支給が停止される可能性があります。

副業・アルバイト

傷病手当金は「労務不能」を前提に支給されるため、副業やアルバイトは原則として禁止です。

収入を得るための労働を行うと、「労務可能」と判断され、傷病手当金の支給が停止される可能性があります。

やってはいけないこと リスク
虚偽の申請 詐欺罪、傷病手当金の返還請求
治療の中断 支給停止、症状の悪化
副業・アルバイト 支給停止、過払い分の返還請求

傷病手当金は、療養に専念するための制度です。

受給中は治療を最優先に考え、医師の指示に従って休養しましょう。


適応障害で2回目の休職|傷病手当金は再度受給できるか

適応障害は、一度回復しても再発するケースがあります。

2回目の休職となった場合、傷病手当金は再度受給できるのでしょうか。

ここでは、2回目の傷病手当金申請について詳しく解説します。

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同一傷病で2回目の傷病手当を申請する場合

同じ適応障害で2回目の休職となった場合でも、支給期間(通算1年6ヶ月)が残っていれば、傷病手当金を受給することができます。

2022年1月の法改正により、支給期間が「通算」方式に変更されたためです。

同一傷病での2回目申請のポイントは以下のとおりです。

ポイント 内容
支給期間 1回目の受給期間を差し引いた残り期間が対象
待期期間 同一傷病では再度の待期期間は不要
申請方法 1回目と同様の手続きで申請

具体例を見てみましょう。

1回目の休職で6ヶ月間傷病手当金を受給し、復職後に再び適応障害で休職した場合、残り12ヶ月(1年6ヶ月 − 6ヶ月)の傷病手当金を受給できます。

復職期間中は傷病手当金を受給していないため、支給期間にはカウントされません。

残りの支給期間を確認したい場合は、健康保険組合に問い合わせましょう。

過去の受給履歴と残り期間を教えてもらえます。

別の傷病として申請する場合の判断基準

適応障害から「うつ病」に診断名が変わった場合など、別の傷病として申請できるケースがあります。

別傷病として認められれば、支給期間が新たに1年6ヶ月スタートします。

別傷病と判断されるケースは以下のとおりです。

  • 適応障害が治癒し、その後新たに別の精神疾患を発症した場合
  • 「社会的治癒」が認められた場合(症状が安定し、一定期間通常の生活を送れていた場合)
  • 医学的に別の傷病と判断される場合

ただし、同じ精神疾患でも、単に診断名が変わっただけでは別傷病とは認められない可能性があります。

健康保険組合の判断によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。

ケース 別傷病として認められるか
適応障害→うつ病(連続した経過) 認められない可能性が高い
適応障害が治癒→数年後にうつ病を発症 認められる可能性がある
社会的治癒が成立している 認められる可能性がある

判断が難しいケースでは、健康保険組合や社会保険労務士に相談することをおすすめします。

支給期間終了後に利用できる他の制度

傷病手当金の支給期間(通算1年6ヶ月)が終了しても、症状が回復していない場合は、他の制度を活用できる可能性があります。

制度 概要 申請先
障害年金 障害の状態に応じて年金が支給される 年金事務所
自立支援医療制度 医療費の自己負担が1割に軽減される 市区町村の窓口
生活保護 生活に困窮した場合の最低生活保障 福祉事務所

障害年金は、初診日から1年6ヶ月経過後に申請できます。

傷病手当金の支給が終了するタイミングと重なるため、移行を検討しやすい制度です。

ただし、障害年金は傷病手当金より審査が厳しく、すべての人が受給できるわけではありません。

障害の程度や就労状況などによって判断されます。

障害年金の申請を検討する場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。


適応障害の休職中に企業・労働者が押さえるべきポイント

適応障害による休職は、労働者だけでなく企業にとっても重要なテーマです。

ここでは、休職中の過ごし方や復職に向けた準備、企業側の対応ポイントについて解説します。

労使双方が適切に対応することで、スムーズな復職につながります。

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【労働者向け】休職中の過ごし方と復職に向けた準備

休職中は、治療に専念することが最優先です。

しかし、復職を見据えた準備も少しずつ進めていくことが大切です。

休職中の過ごし方のポイントは以下のとおりです。

時期 過ごし方のポイント
休職初期 十分な休養をとり、心身の回復に努める
休職中期 生活リズムを整え、軽い運動を取り入れる
復職準備期 リワークプログラムの活用、段階的な社会復帰

休職中に意識したい具体的な取り組みを紹介します。

  • 医師の指示に従った服薬と定期的な通院を継続する
  • 規則正しい睡眠リズムを維持する(起床・就寝時間を一定に)
  • 軽い散歩やストレッチなど、無理のない範囲で体を動かす
  • 復職支援プログラム(リワーク)の利用を検討する

リワークプログラムとは、精神疾患で休職した方を対象とした復職支援プログラムです。

医療機関や就労支援施設で実施されており、復職に向けた準備を段階的に進めることができます。

プログラムの内容例を以下に示します。

プログラム内容 目的
認知行動療法 ストレスへの対処法を学ぶ
グループワーク コミュニケーション能力の回復
オフィスワーク 実際の業務に近い作業で体力を回復
生活習慣の改善 規則正しい生活リズムの確立

主治医と相談しながら、自分に合った復職準備を進めましょう。

【労働者向け】会社とのコミュニケーションで注意すべきこと

休職中も、会社との連絡は必要な場面があります。

適切なコミュニケーションを心がけることで、復職がスムーズになります。

会社との連絡で注意すべきポイントは以下のとおりです。

  • 連絡頻度と方法を事前に決めておく(月1回のメール連絡など)
  • 連絡窓口を人事部門など特定の人に限定してもらう
  • 体調が悪いときは無理に対応しない
  • 休職期間の延長が必要な場合は、早めに相談する

休職期間の延長が必要になった場合の対応も確認しておきましょう。

手続き 内容
診断書の提出 医師に延長が必要な期間を記載してもらう
会社への連絡 人事部門に延長の申し出をする
傷病手当金の継続申請 延長期間分の申請書を提出する

復職時には、以下の配慮事項を会社に伝えておくと良いでしょう。

  • 時短勤務や残業制限の希望
  • 業務内容の調整
  • 産業医との面談の希望
  • 再発防止のための環境調整

会社との連絡がストレスになる場合は、主治医に相談してください。

医師から会社に対して、連絡頻度を減らすよう伝えてもらうこともできます。

【企業向け】適応障害で休職する従業員への対応

企業には、適応障害で休職する従業員に対して、適切なサポートを行う義務があります。

ここでは、企業が押さえておくべきポイントを解説します。

休職者への対応で注意すべき点は以下のとおりです。

対応項目 ポイント
制度の説明 休職制度、傷病手当金の申請方法を丁寧に説明する
プライバシーの配慮 休職理由を他の従業員に漏らさない
連絡の配慮 過度な連絡を控え、連絡窓口を一本化する
復職支援 段階的な復職プログラムを用意する

休職者との連絡では、以下の点に配慮しましょう。

  • 連絡頻度は最小限に抑える(月1回程度)
  • メールなど、相手の負担が少ない方法を選ぶ
  • 業務の引き継ぎや進捗報告を求めない
  • 復職を急かすような発言は避ける

復職時には、産業医との面談を実施し、復職の可否や必要な配慮事項を確認することが重要です。

本人の希望と医師の意見をもとに、無理のない復職計画を立てましょう。

適応障害の再発を防ぐために、復職後も定期的なフォローアップを行うことが大切です。

休職期間の目安|適応障害は2週間で回復する?

「適応障害は軽い病気だから、2週間程度で治る」と考える方もいますが、これは誤解です。

適応障害の回復には、個人差が大きく、一概に期間を決めることはできません。

適応障害の休職期間の目安は以下のとおりです。

休職期間 該当するケース
2週間〜1ヶ月 軽度の症状で、ストレス要因が明確な場合
1〜3ヶ月 一般的な適応障害の休職期間
3ヶ月以上 症状が重い場合や、うつ病に移行している場合

適応障害は、ストレス要因から離れることで比較的早く回復する傾向があります。

しかし、根本的なストレス要因が解消されていない場合は、復職後に再発するリスクがあります。

2週間で完全に回復することは稀であり、無理に復職を急ぐと症状が悪化する可能性があります。

回復のスピードは人によって異なるため、主治医と相談しながら、焦らず療養を続けることが大切です。

自分自身の体調をよく観察し、「もう大丈夫」と感じても、医師の判断を仰いでから復職を決めましょう。


適応障害で受け取れるお金は傷病手当金だけじゃない|その他の支援制度

適応障害で休職した場合、傷病手当金以外にも利用できる支援制度があります。

ここでは、傷病手当金と併用できる制度や、退職後に活用できる制度を紹介します。

経済的な不安を軽減するために、使える制度は積極的に活用しましょう。

このセクションの内容

自立支援医療制度(精神通院医療)

自立支援医療制度は、精神疾患の治療にかかる医療費の自己負担を軽減する制度です。

通常3割の自己負担が、1割に軽減されます。

項目 内容
対象 精神疾患で通院治療を受けている方
軽減内容 医療費の自己負担が1割に軽減
対象医療 外来診療、薬代、デイケアなど
申請先 市区町村の障害福祉課など

自立支援医療制度は、傷病手当金と併用することができます。

傷病手当金で生活費を確保しながら、自立支援医療制度で治療費の負担を軽減することで、経済的な不安を大幅に減らせます。

申請には医師の診断書が必要です。

通院している医療機関で相談してみましょう。

障害年金

障害年金は、病気やケガによって一定の障害状態にある方に支給される年金です。

傷病手当金の支給期間が終了した後も、症状が続いている場合に申請を検討できます。

種類 対象者 支給額の目安(年額)
障害基礎年金 国民年金加入者 約78万〜97万円(等級により異なる)
障害厚生年金 厚生年金加入者 報酬比例+障害基礎年金

障害年金を申請するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 初診日に国民年金または厚生年金に加入していること
  • 初診日から1年6ヶ月経過していること
  • 障害等級(1〜3級)に該当する障害状態であること
  • 保険料の納付要件を満たしていること

精神疾患の場合、障害等級の認定基準は「日常生活や就労への支障の程度」で判断されます。

申請は複雑なため、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

失業保険(雇用保険の基本手当)

退職後に働ける状態になったら、失業保険(雇用保険の基本手当)を申請できます。

ただし、傷病手当金と失業保険を同時に受給することはできません。

項目 傷病手当金 失業保険
対象 働けない状態の方 働ける状態で求職中の方
支給額 標準報酬月額の約2/3 賃金日額の50〜80%
支給期間 通算1年6ヶ月 90〜330日(離職理由により異なる)

病気で働けない状態が続いている場合は、失業保険の受給期間を延長することができます。

通常の受給期間は離職日の翌日から1年間ですが、病気で働けない期間は最長3年間延長できます。

傷病手当金の支給が終了し、働ける状態になったら、ハローワークで失業保険の手続きを行いましょう。

会社独自の休職手当・見舞金制度

会社によっては、独自の休職手当や見舞金制度を設けている場合があります。

また、健康保険組合によっては、傷病手当金に上乗せされる「付加給付」が支給されることもあります。

制度 内容
休職手当 会社が独自に支給する手当
見舞金 病気やケガの際に支給される一時金
付加給付 健康保険組合独自の上乗せ給付

これらの制度は、会社の就業規則や福利厚生規定、健康保険組合の規約に記載されています。

休職が決まったら、人事部門や健康保険組合に確認してみましょう。

使える制度を知らないまま休職期間を過ごすのはもったいないことです。

自分が利用できる制度を把握し、最大限活用しましょう。


口コミ・体験談|適応障害で傷病手当金を申請した方の声

実際に適応障害で傷病手当金を申請した方の体験談を紹介します。

これから申請を考えている方の参考になれば幸いです。

体験談①:申請がスムーズにいったケース(30代・会社員)

「適応障害と診断されて、すぐに休職することになりました。
会社の人事担当者が傷病手当金の申請方法を丁寧に教えてくれて、申請書の準備もサポートしてもらえました。
主治医にも通院のたびに申請書への記入をお願いして、毎月滞りなく受給できています。
収入が2/3になったのは正直厳しいですが、治療に専念できる環境を整えられたのは大きかったです。」

ポイントとしては、会社の協力があるとスムーズに申請できることがわかります。

休職が決まったら、早めに人事部門に相談することが大切です。

体験談②:申請に苦労したケース(40代・会社員)

「パワハラが原因で適応障害になり、休職しました。
最初、傷病手当金の申請書に『上司からのパワハラ』と書いたところ、健康保険組合から『業務上の傷病であれば労災の対象になる』と指摘されました。
傷病の原因の書き方を修正して再提出し、なんとか受給できましたが、最初の申請から2ヶ月かかりました。
パワハラが原因の場合は、傷病手当金と労災のどちらを申請すべきか、事前に専門家に相談した方が良いと思います。」

パワハラが原因の場合、傷病手当金と労災保険の選択で迷うケースは少なくありません。

判断に迷う場合は、社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。

体験談③:退職後に継続受給したケース(20代・元会社員)

「適応障害で3ヶ月休職した後、会社を退職しました。
退職後も傷病手当金を継続して受給できると知り、申請を続けています。
退職日に出勤すると継続受給できなくなると聞いていたので、退職日は絶対に出勤しないようにしました。
今は治療に専念しながら、少しずつ社会復帰の準備をしています。」

退職後の継続受給には、退職日に出勤しないことが重要です。

退職を検討している方は、傷病手当金の継続受給の要件を事前に確認しておきましょう。


よくある質問(FAQ)

Q. 適応障害と診断されたら傷病手当金は必ず支給されますか?

A. 診断だけでは支給されません。

傷病手当金を受給するためには、以下のすべての条件を満たす必要があります。

  • 健康保険(社会保険)の被保険者であること
  • 業務外の傷病であること
  • 医師から「労務不能」と証明されていること
  • 連続3日間の待期期間を完成させていること
  • 休業期間中に給与の支払いがないこと

適応障害と診断されても、これらの条件を1つでも満たしていなければ、傷病手当金は支給されません。

申請前に、すべての条件を確認しておきましょう。

Q. 適応障害で休職した場合、どのような給付金を受け取れますか?

A. 主に傷病手当金が該当します。

休職中に給与が支払われない場合は、傷病手当金で収入を補うことができます。

そのほか、以下の制度も利用できる可能性があります。

制度 内容 利用タイミング
傷病手当金 給与の約2/3を支給 休職中
自立支援医療制度 医療費の自己負担を1割に軽減 通院中
失業保険 求職中の生活費を支給 退職後・働ける状態になったら
障害年金 障害の状態に応じて年金を支給 初診日から1年6ヶ月経過後

状況に応じて、複数の制度を組み合わせて活用することができます。

Q. 適応障害で利用できる経済的支援にはどんなものがありますか?

A. 傷病手当金のほか、以下の経済的支援が利用できる可能性があります。

  • 自立支援医療制度(医療費の1割負担)
  • 高額療養費制度(医療費が高額になった場合の払い戻し)
  • 障害年金(障害の状態に応じた年金)
  • 生活福祉資金貸付制度(低所得世帯向けの貸付制度)
  • 会社独自の休職手当・見舞金

自分が利用できる制度を把握し、経済的な負担を軽減しながら療養を続けることが大切です。

詳しくは、市区町村の福祉課や社会保険労務士に相談してみてください。

Q. 傷病手当金が支給されないのはどのような場合ですか?

A. 以下のような場合は、傷病手当金が支給されません。

支給されないケース 理由
国民健康保険に加入している 国保には傷病手当金制度がない
待期期間を満たしていない 連続3日間の休業が必要
医師の証明がない 労務不能の証明が必須
給与が支払われている 給与と傷病手当金の二重受給は不可
支給期間を超過している 通算1年6ヶ月が上限
退職日に出勤した 継続受給の資格を失う

申請が通らない場合は、どの要件を満たしていないのか確認し、対処法を検討しましょう。

Q. 月収(手取り)20万円の場合、傷病手当金はいくら受給できますか?

A. 手取り20万円の場合、月額約17万円前後が目安です。

計算の流れは以下のとおりです。

  1. 手取り20万円から額面給与を推定すると、約25万円程度
  2. 標準報酬月額は26万円(22等級)と仮定
  3. 支給日額 = 260,000円 ÷ 30 × 2/3 = 約5,778円
  4. 月額(30日) = 約173,340円

実際の支給額は、過去12ヶ月間の標準報酬月額の平均によって変動します。

正確な金額を知りたい場合は、健康保険組合に問い合わせてみてください。

Q. 適応障害は2週間の休養で回復しますか?

A. 個人差がありますが、2週間で完全に回復することは一般的ではありません。

適応障害の回復期間は、症状の重さやストレス要因の解消状況によって大きく異なります。

回復期間の目安 状況
2週間〜1ヶ月 軽度で、ストレス要因が明確に解消された場合
1〜3ヶ月 一般的な適応障害の療養期間
3ヶ月以上 症状が重い場合、うつ病に移行している場合

2週間で「少し良くなった」と感じても、無理に復職すると症状が悪化するリスクがあります。

焦らず、医師と相談しながら回復を目指すことが大切です。

自分のペースで療養を続け、十分に回復してから復職を検討しましょう。